1998年5月18日

衆 議 院 議 長   伊藤宗一郎 殿
参 議 院 議 長   斎藤 十朗 殿
衆議院建設委員会委員長 遠藤 乙彦 殿
参議院国土・環境委員会委員長 関根 則之 殿

社団法人 日本建築学会
会長 尾 島 俊 雄

建築基準法に関する要望

 この3月に、建築基準法の改正案が国会に上程されました。本会としても改正の必要性を強く認識しているところであり、過日建設省から改正法案についてご説明を受けた上で、本会としても検討を重ねてまいりましたが、以下の点につきましてのご検討を要望いたします。

 建築基準法は公法に基づく民法上の権利を規制する形であるため、遵法度が低いことに基本的問題がある。このような状況の下で仕様規定から性能規定に改正することによって、設計の自由度を増し、国際性を高め、さらに高度な技術、材料の選択を可能としようとするとの趣旨は評価される。しかし、これを実行する技術者の能力・資格、その確認申請受理者としての建築主事のレベルが間に合わないと、これまで以上に遵法性が損なわれたり、性能規定の名の下で実質的に仕様規定がかえって強化される恐れがある。したがって政令の策定と施行にあたっては、我が国の技術および技術者の能力レベルを勘案して各方面から十分な意見集約を図るとともに、講習、研修等の場を通じた十分な周知徹底を図ることを要望する。

また、建築確認における民間活用および中間検査の導入にあたっては、良質で安全な建築をつくるための費用対効果と責任の議論が不可欠であり、阪神淡路大震災の例のみならず、グローバル・スタンダードで求められているのは管理と責任体制の明確化とそれに応じた適切な費用負担の明確化である。建築主、利用者、設計者、施工者、建築主事について建築基準法等で定められている権利義務を実効性のあるものとするよう国会で十分に検討していただきたい。

さらに今回の基準法改正では対象となっていないが、現行耐震基準等を満たさない既存不適格建築物が多く存在することや、環境問題をふまえた建築物の適正な維持管理の観点から建築ストックに対する施策を推進することを要望する。