1997年8月21日

行政改革会議
会長 橋 本 龍 太 郎 殿

社団法人 日本建築学会
会長 尾 島 俊 雄

行政改革会議への要望

行政改革推進の目的達成には,建設関連行政の体質改善もまた不可欠であります。日本建築学会は111年の歴史を通じて,学術のみならず行政や建設の実務面でも斯界のオピニオンリーダーの役割を果たしてまいりました。行政改革会議の理念を達成することは,日本の建設関連分野にとっても重大関心事であり,以下に日本建築学会からの要望を記し,よって日本の建設界自体の改革に対しても寄与したいと考えております。




1.今度の中央省庁改革構想には,企画立案機能と実施機能を分離し,行政の総合性と即応性を高めようとする意見があります。その実施について建設界の専門家集団である当学会は重大な関心を寄せております。

2.日本の戦後の復興に寄与した公共事業も,現在その見直しが迫られております。その転換には行政の抜本的改革が不可欠であります。と同時に,急速な高齢化や地球環境問題解決を図るためにはライフスタイルの一新,低環境負荷・資源循環型社会構造への軌道修正などを行う必要があり,これまで以上に行政に密着した強力な公共の立場からの誘導が求められております。そのための中央省庁の企画立案機能強化には,優れた資質,柔軟な発想,統括力,公正な判断力,実行力,思考パターン,専門知識や経験の異なるさまざまな集団の中から,文官・技官の両分野からなる優れた人材を発掘登用し,両者の視点を合わせた総合的体制を構築することが重要です。

3.1997年5月1日の行政改革会議の意見書で「企画立案機能を行うには法科や経済出身者に限る」との発言があったかに仄聞いたしますが,国土の環境形成とその維持を総合的に推進してゆくためには,文科系・理科系の人材の積極的参画がともに必要であると考えます。

以上の要望を行政改革会議の議論に反映していただきたく,要望申し上げる次第であります。