会長・副会長からの近況報告(メルマガ)

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■最新号(第12回:2022年5月9日配信)


 早いものでこのメルマガも12回目になりました。会長としての折り返し地点です。福田副会長、伊香賀副会長は最後のメルマガになります。両副会長には学会運営に献身的に貢献頂き心から感謝しております。お二人のメルマガも楽しみにしていました。話は変わりますが、4月20日に衆議院経済産業委員会において参考人として意見陳述を行ってきました。省エネ法の改正に関するものですが、正式な名称は、「安定的なエネルギー需要構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化などに関する法律等の一部を改正する法律案」です。3月1日に閣議決定されて審議が行われていました。4名の参考人が一人15分意見を述べ、その後6会派の国会議員の先生方から15分ずつの質問を受けました。質問は事前にはわからないこと、議事録の修正はできないことから大変緊張しました。ロシアのウクライナ侵攻による世界的なエネルギー問題もあるため、様々な観点からのご質問がありました。私自身は、省エネ法の歴史と現在、省エネ法の大転換が必要、系統電気は全て火力発電であるという計算法からの転換、非化石エネルギーに需要がなければ投資は進まない、ドイツとの比較、変動型再生可能エネルギーが増加すると何が必要か、安定的なエネルギー供給の確保の7項目に関して意見を述べました。我が国の2019年度のエネルギー自給率は12.1%で他の先進諸国と比較すると非常に低い状況です。徹底的な省エネと非化石エネルギー利用が望まれます。加えて、建築物省エネ法は秋の臨時国会での審議の可能性があるとされていましたが、関係者の努力により4月22日に「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案」として閣議決定されました。今期の通常国会で審議の予定です。新建築5月号に「建築と環境 2050年カーボンニュートラルに向けて」という堀川晋(日建設計)氏との対談が掲載されました。支部訪問でも情報提供をさせて頂ければと思っております。

衆議院経済産業委員会(2022年4月20日) インターネット審議中継
https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=53935&media_type=

国土交通省 建築物省エネ法改正(2022年4月22日)
https://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_000920.html


 
田辺 新一
会長 田辺新一(早稲田大学教授)
 メールマガジン執筆も今回が最終回です。副会長としての任務は、5月の理事会・総会のほか、8月31日から9月1日の2日間、建築会館ホールで対面開催する第6回グローバル人材育成プログラム「世界で建築をつくるぞ!─グローバルな建築デザイン・マネジメント・エンジニアリング分野への入門」の運営のみとなりました。今回は、パリを拠点に活躍されている建築家、田根剛さん(Atelier Tsuyoshi Tane Architects)、建築施工分野の富田 昌廣さん(鹿島建設㈱)、構造・環境エンジニアリング分野の荻原廣高さん(Arup/神戸芸術工科大学)、都市開発分野の田中亙さん(㈱日建設計)の第一線で活躍する4名の講師と十数名のメンターが手厚く参加学生をサポートします。建築系の高専生・大学生・大学院生で、海外での建築活動に従事することに強い関心や意欲を持っている者(留学生も歓迎)を募集中です(定員50名、6月10日締め切り)。所属大学教員の推薦が必要ですので、意欲的な学生にお声がけいただけるとありがたいです。
 学会ウェブサイト参照(https://www.aij.or.jp/jpn/symposium/2022/grobal2022.pdf

なお、担当副会長として主査を務めた「脱炭素都市・建築タスクフォース」が発展した「脱炭素都市・建築アクションプラン特別調査委員会」では委員として、「建築SDGs宣言推進特別調査委員会」では委員長として、本会の取り組みを推進して参りますので、引き続き、よろしくお願い申し上げます。

 
伊香賀 俊治
副会長 伊香賀俊治(慶應義塾大学教授)
 資材高騰が急速に起きている。日経アーキテクチャ4月14日号でこれが大きく取り上げられている。コロナによる流通の停滞ですでに価格が上昇基調にあった所に、ロシアのウクライナ侵攻が拍車をかけた形である。記事では木材・鋼材・コンクリートを中心に取り上げられているが、恐らくこの範囲に止まらない。ロシアの鉱物資源ではニッケル・パラジウム等の金属が取り上げられることが多いが、建材に関してはアルミが大きい。工事発注に大きな影響を与えていくことが予想される。
 アルミ新地金生産に関しては中国がダントツのトップなのだが、この国は消費もダントツのトップである。この結果、輸出に占めるロシアの存在感は意外にも大きい。もう一方の資源大国であるアメリカでさえも、アルミに関しては自国で消費量を賄えることができず、輸入に頼っている。原料となるボーキサイトの生産量は、同じく資源大国のオーストラリアがトップだが、ウクライナ侵攻を受けて、ロシアへの輸出を禁じたことがアルミ高騰の発端で、事ほど左様に世界は一つに繋がっているということである。
 最近オーストラリアとインドがFTAに調印したことが話題になった。背景には対中懸念があるようだ。インドは人口規模が巨大で、慢性的なエネルギー不足の国だが、これにより長期的には温暖化ガス排出削減の目標を達成する一助となるのではないか、という記事を目にした。
 翻って日本だが、サハリン2を巡って急速に中露と欧米から喉元を締め付けられていくことにならないか、心配である。立ちすくんでいる時間的余裕はあまりないように思う。

 今回が私の最後のメルマガとなります。田辺会長より毎月メルマガを配信する、と言われた時にはどうなることかと心配しておりましたが、何とか1年間務めることができました。皆様、拙いメルマガにお付き合いいただき、ありがとうございました。

 
福田 卓司
副会長 福田卓司(㈱日本設計取締役副社長執行役員)
 年度が始まって一か月、様々な活動が動き出し、皆さまに置かれましては、慌ただしい毎日をお過ごしのことと思います。Covid-19も明けない中、東欧での戦争、国内での物価上昇や円安といった課題が顕在化して、かじ取りは本当に大変ですね。
 そういう中、またまた私ごとで誠に恐縮ですが、UCLAで授業を担当することになりまして、この4月からLAに滞在しております。
 学生と准教授時代に、米国滞在を経験しているのですが、今回、改めて感じるのは、日本のプレゼンスの低下でしょうか。こういう状況下では、こちらから、彼らの文脈を理解した上で、価値を積極的にアピールしていくことになるのですが、日本にいるとこのあたりの感覚が鈍るようで、現在OSをアップデートするのに格闘中です。
 昨年の秋に設置された「学術・芸術・技術分野の進展タスクフォース」や進行中の特別調査委員会「ウイズ/アフターコロナに適応する建築・都市」「デジタル・グローバル建築教育研究の環境整備」での議論とも重なる部分も多いように感じており、色々な知見を持ち帰られればと思っている所です。
 慣れない環境で四苦八苦するのは、見栄えとしては格好悪いことですし、期間も1セメスターだけで短いのですが、若い皆さんに「海外に、ぜひ挑戦して下さい」と日頃、言っている手前、それから逃げるのはアンフェアだなと引き受けてはみましたが、いやいや、昔と違って体と頭が思うように動かず大変です...汗。

 
小野田 泰明
副会長 小野田泰明(東北大学教授)
 昨年11月に開催されました日本建築学会と土木学会との正副会長会議においてMOU(覚書)が締結され、土木学会との合同タスクフォースを設置することが合意されました(田辺会長の昨年12月のメルマガ参照、https://www.aij.or.jp/kaichou-fukukaichou-ml-07.html)。その後、昨年末から3か月間の下準備期間を経て、各学会を代表する様々な分野の専門家が集い、本年3月から土木学会との合同タスクフォース(現時点までは準備会という位置づけ)がついにスタートし、これまで2回オンラインで会合を開きました。この合同タスクフォース準備会では、奇しくもコンクリートを専門とする4名によるダブル委員長(土木:上田多門次期会長、建築:私)、ダブル幹事(土木:中村光・名古屋大学教授、建築:楠浩一・東京大学教授)制が敷かれています。私の偏見かもしれませんが敢えて申し上げますと、建築と土木とでは、「ボトムアップ」と「トップダウン」、「民」と「官」、「市民」と「国民」などのように視点・観点が異なり、組織や個人の思考方法なども少し異なるように感じています。技術的にも、「調合」と「配合」、「かぶり厚さ」と「かぶり」、「検証」と「照査」など、同義語が幾つもあり、建築でも土木でも大量に使用されているコンクリートを専門とする私は、建築の人と話す場合と土木の人と話す場合とで用語の使い分けをしています。また、建築で建設するものは「建築物」で、土木で建設するものは「土木構造物」ですが、建築の場合に「建築構造物」とは言いません(時々そういう使われ方をしているのを見かけますが、私は違和感を覚えます)。果たして合同タスクフォースがうまくいくかどうかはわかりませんが、目標・目的が一致していて、お互いに協力することでその達成が加速して高揚するのであれば、建築・土木それぞれが別の方策・手法を講ずるとしても、それはそれでよいのではないかと思っています。方策・手法までをも一致・融合させようとして茨の道を歩むよりは、お互いを理解し尊重し合って同じ目標・目的に向かって進めば自ずと成就するものと信じています。今後、
・建築物・土木構造物および建設材料のカーボンニュートラル・資源循環
・豪雨・洪水・地震・津波・都市災害・複合災害などに対する防災(治水、耐震など)
・建築物・土木構造物の設計・メンテナンス基準
・建築物・土木構造物の設計・建設・メンテナンス・利用における情報活用
・都市計画・交通計画・公共発注・公物管理
・文化的・歴史的建造物の価値評価・再生・保存
といった分野で専門家が集って実質的な合同タスクフォースが始まり、具体的な協力関係が築かれていくこととなるでしょう。建築と土木との協力が必要と思われる他の分野・内容をお考えの方は、是非、小生(noguchi@bme.arch.t.u-tokyo.ac.jp)までご連絡をいただけますと幸いです。

 
野口 貴文
副会長 野口貴文(東京大学教授)
 建設物価の上昇が続いています。まずは鋼材の価格の上昇です。調達のリードタイムが長引き、工場建設の見直しや公共施設の開業延期につながるなど建築プロジェクトにも影響が出始めています。鉄鉱石と石炭の価格高騰や世界的な供給体制の見直しが需給バランスを崩し、価格の先行きが見通せなくなっているためです。そればかりでなく、建材・設備メーカーの値上げが相次いでいます。ガラス、アルミサッシュ、金属材料、トイレ、ユニットバス、システムキッチン、フローリング、防水材、壁紙、塗料など広範囲になっています。価格が上がっていない建設資材を探すほうが難しい状況です。値上げの主な原因は原料や燃料の価格上昇ですが、既に素材メーカーでは、ウクライナ危機に伴う原料価格の急騰を素材価格に転嫁する動きもでています。こうした、建設資材の価格高騰や品不足を受け、日本建設業連合会では民間発注者に現状理解と適切な価格転嫁を求めるための説明資料を作りました。最新の資材価格や納期遅延が発生している資材を列挙。会員共通の資料として工事契約の締結や設計変更の協議などで活用を促すよう求めています。国が決定した物価高騰対応の総合緊急対策に基づく官民の発注者団体や建設関係団体への通知に対応。元下契約も含めコスト上昇分を適正に反映した工事費の設定や工期の確保に役立てるよう求めています。実際のプロジェクトベースでの上昇率は10~15%を占め大型再開発など進捗に大きな影響が出始めています。ウクライナ危機は建設業界にまで大きな影響を出し始めています。今後の進捗が注視されます。

 
田名網 雅人
副会長 田名網雅人(鹿島建設㈱常務執行役員建築設計本部副本部長)
 

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