会長・副会長からの近況報告(メルマガ)
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- 正副会長のメルマガは、①会長ショートメッセージ、②副会長リレーコラム、③学会メンバーによるミニ通信の3部構成で会員の皆さまにお届けいたします。
■最新号(第41回:2025年11月4日配信)
◎11月の会長メッセージ

11月のメルマガは、大韓建築学会80周年記念大会の帰途、インチョンから日本に向かう機内で書いております。来年4月に140周年を迎える日本建築学会が、大韓建築学会の60年年長となりますが、近年の目覚ましい経済成長により、韓国の一人当たりGNPは2022年から連続して日本を上回っています。DX化も進み、日本より進んでいる面も多々あるようです。その一方、地方の疲弊や少子化、建設費の高騰といった共通する課題も多く、共同研究の種があることを大韓建築学会の首脳部と確認してきました。
今回の渡航、ISAIAが来年韓国での開催なので、過去のISAIAで若手参加事業を先導して頂いた中村航先生にも同行して頂きました。個人的にも、2018年の韓国平昌のISAIAで日本側と素晴らしい協同を発揮して頂いたChon先生や2016年からの難しいJAABE交渉を無私の心で支えて頂いた盟友とも言えるPark先生とも久しぶりに会えたことも喜びでした。来年の韓国でのISAIAは日本と韓国が、相互に学ぶ時代が本格的に到来したことが実感できる象徴的な大会になるように感じております。国際交流に力を発揮されてきた皆さまはもちろん、これを機会により関係を深めたいという方々にも奮ってご参加いただき。国の内外で東アジアの建築文化を盛り上げられればと思っています。
ということで、副会長リレーコラムは、学会の国際事業を所轄され、国際人材の育成に汗をかいておられる有賀隆副会長にご担当頂きました。会員ミニ通信は、事業理事として修士・博士論文の顕彰など、本会の中核となる事業でご活躍頂いている秋田典子先生です。
◎副会長リレーコラム

日本建築学会が進めている国際化への取り組みの一つに、「グローバル化人材育成プログラム『世界で建築をつくるぞ!-グローバルな建築デザイン・マネジメント・エンジニアリング分野への入門』」があります。この取り組みは、これからの建築界を担う学生世代に、海外での建築・都市の仕事や国際化への対応に関わる感性と視座を獲得してもらい、将来の専門家としてのビジョンを育んでもらうことを目的に、2017年に第1回目を開催して以来、今年で9年目を迎えました。8月19日(火)~20日(水)の2日間、建築会館ホールで行われたプログラムには、全国の大学や高等専門学校から総勢55名の意欲的な学生が参加しました。学生たちは7グループに分かれ、最初に建築界の第一線で活躍する4名の講演者によるテーマレクチャーを聴講し、その後、それぞれのテーマに関連するグループ・ワークショップ課題に取り組みました。各グループワークの発表に対しては、出題を担当した講演者等から質問やコメントが出され壇上の学生達とコミュニケーションが図られると共に、専門的視点からの講評が行われ、優れた提案には表彰状が授与されました。
本年の講演者には金箱温春氏(金箱構造設計事務所代表取締役・建築構造分野)、古谷誠章氏(NASCA代表取締役・早稲田大学栄誉フェロー・建築デザイン分野)、菊地雪代氏(アラップ東京事務所アソシエイト/サステナビリティ・コンサルタント・エンジニアリング分野)、山中司信氏(大林組執行役員営業総本部副本部長・建築施工分野)の4名をお招きしました。また7つの学生グループには、それぞれ企業・大学等での海外経験が豊かなメンター役を2名程度配置し、専門実務で直面する国・地域ごとに異なる社会制度や技術面から学生への指導、助言を頂きました。当日、会場へは小野田泰明会長や中島正愛元会長、川口健一前副会長も激励に来られ、参加学生等との交流を通して大変充実したプログラムとなりました。改めて本取り組みにご尽力頂いている講師ならびにメンターの皆様方に感謝申し上げます。
◎会員ミニ通信:秋田 典子(千葉大学教授)
朝晩の冷え込みを感じるようになり、猛暑日が続いた今年の夏や大阪万博、そして9月の熱気あふれる九州大会も、はるか昔のことのように感じられるかも知れません。ですが、今回はまだメルマガで紹介できていない、大会行事として実施される優秀卒業論文、修士論文の表彰式について紹介させていただきたいと思います。
建築学会では、当該年度に提出された卒業論文、修士論文に対する表彰を、同年夏に開催される大会で行なっています。表彰対象となる論文の応募開始は1月、締め切りが3月中旬、つまり卒業・修了直前の指導教員の目の届く期間内に、執筆を終えたばかりの出来立ての卒論・修論を応募いただく流れとなっています。
第36回となる今年は応募条件を満たす卒業論文69編、修士論文109編の計178編が選考対象となりました。常置調査研究委員会からご推薦いただいた29名の委員により審査頂き、最終的に卒論14編、修論15編が選出されました。限られた時間での審査ですが、全ての論文を精査し厳密に審査が行われています。
こうしたプロセスを経て選出された優秀論文は、大会で学会長より表彰されます。表彰会場での皆さんの輝く笑顔、選出された論文のテーマの広がりに、改めて建築の魅力と懐の深さを感じました。今年は伝統建築技術、パーソナル換気、構造実験、芸術空間、住宅生産、火災避難、海外研究、ダンパー、居場所、解析、建築家、絵図、土地利用、民家、生活道路、ジェンダー、包摂性、飛沫挙動、礼拝空間、局部座屈などの興味深いキーワードが並び、多様な関心と探究心に触れることができました。
建築学会のウェブサイトには、1990年の第1回からの表彰についての紹介もあります。表彰されている方の中には、現在は当該分野の中核を担う方も多数いらっしゃり、この賞が建築分野を先導する方々の背中を押してきたことが感じられます。
https://www.aij.or.jp/prize-paper.html
改めて、多くの時間を割いて各選考に関わられる委員の方々、そして表彰事業を長年ご支援いただいている「建築教育振興基金(タジマ基金)」に深く感謝いたします。
年末を控え、そろそろ会員の皆様の中にも、執筆やご指導等の立場で卒論、修論の佳境に入られている方もいらっしゃるかと推察致します。この表彰は、卒論、修論という条件を満たせばどなたでも応募することができます。
毎年募集しておりますので、ぜひ心に留めてご応募いただければ幸いです。
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