会長・副会長からの近況報告(メルマガ)

最新号  バックナンバー  メールマガジンに登録・停止する  問い合わせ先


  • 隔月のペースで、会員の皆さまに会長・副会長からの近況報告をメールマガジン形式でお届けいたします。
 

■最新号(第30回:2024年4月2日配信)


竹内 徹
会長 竹内徹(東京工業大学教授)

 大変お待たせいたしましたが、近年のオフィス環境のフリーアドレス化の進行やテレワークに対応し、日本建築学会では会員限定で参照機会の多い主要刊行物のウェブ閲覧サービスを開始することと致しました。初年度はまず要望の多い構造設計指針13冊の閲覧サービスを2024 年 10 月よりスタート(8 月申し込み開始)致します。詳しくは日本建築学会ウエブサイト(右側の「刊行物ウェブ閲覧サービス」バナー)をご覧ください。
 https://www.aij.or.jp/#mainmenu
 職場での共有本棚や個人の書籍置き場の縮減に伴い、初学時には紙媒体で学習した方々でも、出張先や現場での打ち合わせなどで「あそこはどうなっていたかな」と確認したい局面は多いかと思います。分厚い紙媒体規準を持ち歩くことは困難ですし、自前で全ページをスキャンしてデータ保管することは検索が困難であるだけでなくコンプライアンス上も問題となります。本会がオーソライズした主要構造設計指針を、是非皆さんの携帯パソコン、タブレット、スマートフォンに常備頂けますと幸いです。整備したプラットフォームを用いて今後、今回の対象以外の要望の多い刊行物や、出版を伴わないデジタルコンテンツを会員の皆様に提供して参ります。
 なお、今回の閲覧サービスは1年間の試行です。日本建築学会としては紙媒体の指針類も是非学習のためにご購入いただいた上でこの会員閲覧サービスを活用いただき、併せて日本建築学会に入会する動機としていただきたく考えております。1年後にサービスの利用状況、紙媒体の売上減少傾向、各種ご要望を調査の上、次年度の継続・増強に繋げてまいります。まずは初年度の積極的な利用を通じてのご支援をお願い申し上げます。

 昨年のトルコ・シリア地震、今年の能登半島地震を受け、海外からも日本の耐震・制振・免震技術に関する関心が高まっています。下記英文サイトからも発信しておりますのでご興味のある方はご覧ください。
https://www.aij.or.jp/eng/about/president/newsletter_from_president_and_vps.html
 
川口 健一
副会長 川口健一(東京大学教授)

2減1増

 今回の投稿が私の任期最後のメルマガとなります。私の任期は、田辺前会長と1年、竹内現会長と1年という懸け橋的な立場でした。新型コロナによるパンデミックが収束し、新たな時代が始まるという予感のある時期の任期でもありました。2023年の関東大震災100周年に際しての提言取りまとめにおいては、なおさら、これから日本が向かっていく新しい100 年を意識することになりました。取りまとめつつあった提言と「新常識」で何かと相談に乗って頂き、本提言を「素晴らしい」と褒めて頂いていた山本理顕先生が本年のプリツカ―賞を受賞されたことも非常に喜ばしく、我々の考え方が世界的にも褒めてもらえるレベルにあるような気がしています。
 さて、これからの日本は少子高齢化の中で大きな変化が必要であり、幸せで希望の持てる未来像を共有することが欠かせません。それには皆で協力し、社会の無駄を大胆に減らしていく必要があります。しかし、私達の生活は日を追って不必要と思われる手続きに忙殺され、本来の仕事すらやりにくくなっています。厳しく複雑なルールを作って、守れない人がいればさらに厳しくする。性悪説でどんどん厳しいルールを作ってどんどん自由度が減っていく。このようなことの繰り返しではこれからの時代を乗り越えていくことはできないでしょう。これは多くの人が感じていることではないでしょうか。
 まず、できることは新しいルールを作る際には必ず古いルールを1つか2つ以上減らすことです。無責任に新しいルールを提案するのではなく、ルールを守るためにかかる時間とエネルギーを管理し、これを縮小していかなくてはなりません。さもなくば、リソースの縮小と社会の発展を両立させることは不可能でしょう。
 これからの日本は、低炭素さえ達成すればよいのでもなく、災害に備えさえすればよいのでもありません。これらの課題を共通して解決できる効果の高い対策を厳選し、優先して行うことが必要です。場当たり的な解決は無駄が多く、厳に慎むべきでしょう。
 2年間、2名の会長と8名の副会長、大勢の理事の方々と事務局と共に活動させていただきました。本会を通して、皆様に少しでも何らかの貢献ができていたら幸いです。これを持ちまして、私の最後のメルマガ投稿としたいと思います。任期はまだ少し残っておりますが、本稿末で皆様の暖かいご支援に感謝を述べる機会とさせていただきます。有難うございました。
 
山本 茂義
副会長 山本茂義(㈱久米設計上級担当役員設計本部プリンシパルCDO)

 「京の冬の旅」という冬の間に行われる京都のキャンペーンをご存知でしょうか?“冬の時期に文化財や伝統文化・産業などの奥深い京都の魅力を伝え、ゆっくりと観光を楽しんでいただくため”とのことで、京都市観光協会が主催しています。
 今年で58回目を迎え、1/1から3/20の期間で行われました。10ヶ所ほどの寺院が対象で、普段は非公開になっているエリアへの立ち入りや初公開の秘宝などが鑑賞でき、僧侶の案内やボランティアの方たちによる解説も聴けます。
 今年は辰年ということで龍に関連したものが多く対象となっており、泉涌寺舎利殿の鳴き龍や同雲龍院の双龍の襖絵、大徳寺龍源院の襖絵「龍と波」、渉成園園林堂の宗像志功によるダイナミックな襖絵等々、普段は見られないお宝に触れることができました。
 おまけとしては、昨年のNHK紅白で話題になったAdo(生の姿非公開のアーティスト)が檻の中でシルエットパフォーマンスを行なった、これまた日頃非公開の東本願寺能舞台をその時の裏話と共に僧侶に案内してもらえたのも今回の収穫です。
 京都ではオーバーツーリズムが叫ばれて久しいですが、冬のシーズンオフでも路線バスに乗ろうとするとそれなりの覚悟が必要です。地元で生活されている方の不便は察するに余りあり、その打開策は急務だと改めて感じました。
 さて、2年間務めさせていただいた副会長も5月末で任期を終えます。メルマガも今回が最終ということになり、内心ほっとしているような、ちょっと寂しいような複雑な思いです。拙い近況報告に目を通していただいた希少な読者の皆様、ありがとうございました。
 
牧 紀男
副会長 牧紀男(京都大学防災研究所教授)

 能登半島地震以降、「新耐震基準でも全壊…」「新耐震基準を満たした住宅でも住み続けられない…」といった見出しが新聞・テレビ報道で散見されます。こういった見出しを見るたびに、新耐震基準は、人が命を失わないレベルの基準で、全壊しないこと、ましてや地震後も住み続けられる基準ではありません、と噛みついています。記事・報道の内容に問題はないのですが、デスクが付ける見出しがミスリードしています。そこから分かるのは、世間の認識は「新耐震=全壊しない」さらには「新耐震=震度7でも住み続けられる」というものであることが垣間見えます。本来、「壊れない」については品確法の耐震等級がその役割を担っているのですが、あまり知られていないようです。
 壊れない住宅を造ることは可能でも、住み続けられるという性能を確保することは、これまでなかなか難しい課題でした。しかし、現在、太陽光+蓄電池を備える住宅が増え、さらに貯水タンクを設置することでライフラインを自立的に確保することが容易になっています。さらに電気自動車等により、長期・安定的に電力を確保し、災害後も「住み続けられる」という性能を確保することも可能になっています。まず建築基準法は、人が死なないという最低限の耐震基準を定めているに過ぎないということを知ってもらう必要がありますが、一方、壊れない・住み続けられるという、世間が考える地震に対する性能を地震に対する性能の「標準」であると考えても良いのではないか、とも思います。
 
広田 直行
副会長 広田直行(日本大学教授)

 3月の初旬,竣工間近の南阿蘇鉄道・高森駅を設計者の株式会社ヌーブ代表である太田浩史氏に案内頂きました。この駅舎は,2016年4月に発生した熊本地震により甚大な被害を受けた南阿蘇鉄道の復興を,2018年にくまもとアートポリスプロジェクトとして行われたプロポーザルコンペにより採択されました。
 本プロジェクトの特徴は,「とにかく広いプラットホーム」にあります。カルデラの緩やかな傾斜を利用して,まちと地続きになった長くて広いプラットホームが主役です。コンペで採択された後,5回にわたり町民とのワークショップを経て,原案に至ったと聞きました。この駅は,プロジェクトを通してまち育ての役割も担って,観光と防災と交通の中心に位置づけられています。長いホームは駅舎から西側に位置して,カルデラに沈む夕陽と列車が見えるまちとなります。ロケーションをうまく操作するとともに,駅舎はサイン計画はもとより,細部に渡りデザインマインドがあふれ,居心地の良い駅と交流施設になると感じます。
 このプロジェクトの成功の一因に,一般とは逆ですが,要求水準を緩やかにすることでプレデザイン的な自由度を持たせた発注(グランドデザイン)にしたことが上げられます。発注者側と設計者側がうまくマッチした稀に見る良い事例と言えます。いつの日か,このホームに夕陽に照らされた「ななつ星」が眺められる日が来ることを夢みます。
 
賀持 剛一
副会長 賀持剛一(㈱大林組設計本部常務執行役員設計本部長)

 このメルマガが発行されるときは、2024年度になっているはずです。つまり数年前から世間で話題になっていた『2024年問題』の年についに突入した、ということです。大企業に対して2019年4月に施行された「働き方改革関連法」が5年の猶予を経ていよいよ建設業、物流・運送業他にも適用されることになります。これにより各種の制約が出てくることになりますが、何よりも大きいのは時間外労働の上限規制が適用されることです。各建設会社では、今まで残業時間の抑制に向けたさまざまな取り組みを続けてきていますが、あるアンケート調査によると、一定規模以上の会社の建築現場のうち42%が4月以降に確実にクリアできる目途が立っていないと答えています*1。現状でも慢性化してきている人手不足問題や厳しい工期で受注したストックの消化に苦慮しているところですが、今後は更に残業規制もかかることになります。
 日建連でも昨年8月に「適正工期確保宣言」を発表し、発注者に対して4週8閉所、現場の週40時間稼働での工期での応札・受注をお願いしています。
 https://www.nikkenren.com/kenchiku/tekiseikouki.html
 私の所属する建設会社設計部門でも状況は現場と同じかそれ以上であり、時間外労働が慢性化しています。前述の「適正工期確保宣言」の中では設計期間についても“適正な設計期間を確保”するよう言及されています。ゼネコン設計部門の現況については先日の『日経アーキテクチャー2024-3-14』掲載の日建連・宮本会長のインタビュー記事に詳しく書かれていますので、是非ご一読ください。
 ここで個人的な感想を少しだけ述べさせていただければ、確かに人間的な生活を送るために働き方改革は重要です。自分の時間を確保できればそれを自分のためや家族のために使うことがその実現につながるでしょう。ただ、「人間的な生活」の価値基準というのは個人個人で異なります。特に建築に係わる人には、建築が大好きで、自分の時間も建築に使いたい!という人も少なくないかも知れません。何でもかんでも数字を価値基準として規制し、すべて横並びに、これ以上はOUT!というのはいかがなものなのでしょう?
 こんな疑問が常に頭に残っています。繰り返しますが、あくまで私個人の感想です。

*1:日経クロステック調査
 

■バックナンバー


リンクをクリックすると過去配信分のメールマガジンが表示されます。

2023年04月02日配信:第30回



■メールマガジンに登録・停止する


このメールは会員登録のメールアドレスに基づいて送信しています。
本会サイトにサインインした後、「マイページ > メール設定 > 本会からのお知らせメール」にある「受け取る・受け取らない」から受信設定が可能です。


サインインはこちらから

 

【ご注意事項】

会長・副会長からの近況報告(メルマガ)のみを停止することはできません。
「本会からのお知らせメール」を「受け取らない」に設定すると、本会から定期的に配信している他のご案内メールも届かなくなりますのでご注意ください。
※「ニュースレター」の受信設定に関しては、こちら
 (本メルマガの受信設定とは、連動しておりません。別途受信設定をお願いいたします。)

■問い合わせ先


本サービスに関して:日本建築学会事務局 総務グループ
E-mail:regist(at)aij.or.jp
※ (at) は @ に置き換えて下さい。

 

トップへ戻る