第36回増刊号 会長・副会長からの近況報告(メルマガ)(2025年5月26日配信)
- 今回は、会員の皆さまに5月30日でご退任される会長・副会長からの近況報告をお届けいたします。
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早いものでこれが竹内の会長としての最後のメルマガとなります。この2年間でお約束したミッションのうち、構造規準のウェブ閲覧サービスについては昨年10月より配信を開始し、現在1,000名を超える会員にご利用頂いております。次のお申し込みは8月となります。今後、他の分野の刊行物についても需要に応じ拡張していきますのでご要望をお寄せください。構造規準の国際対応についてはアンブレラコード案「部材検定と応答評価」を今年3月に公開させていただきました。こちらもご意見をお待ちするとともに、これからの指針類整備にご参照いただきたく思います。
BIM、レンダリング、アルゴリズミック・デザイン等のデジタル建築教材については、デザイン・デジタルリテラシー教材(池田靖史先生)に加え、環境CFD(高瀬幸造先生)、構法(村井一先生)らに試作いただいたコンテンツを会員向けに無償で公開し、ご意見を収集することを理事会で決定致しました。これらの利用は会員向けページに「デジタル教材・動画(仮称)」枠を設けご利用いただくことを想定しておりますが、ソフトベンダーとの覚書締結が完了しましたら正式にご案内したいと思います。当面は2023年の特別調査委員会報告時の下記コンテンツでその内容の一部をご覧いただけますと幸いです(会員ログイン後アクセスください)。
https://www.aij.or.jp/jpn/pdf/3D/course_1/chapter_1/section_0/1.htm
併せて、同枠ではデータ公開とV&V WGにご用意いただいた教育コンテンツサンプル「非線形解析骨組解析の基礎理論」等も会員向けに無償公開しご意見を収集します。今後、このようなオンライン講義も整備し、将来的にe-ラーニング教材として配信していくことを想定しています。
以上のタスクフォースの推進に関しましては、広田、牧両副会長におまとめいただきながら、多くのWG委員の先生方、担当事務局の皆さんにご尽力いただきました。ここに御礼申し上げます。
おかげさまで、建築学会の会員数は昨年より500名ほど増加し、今月38,000名余に達しました。2024年度は1億円余の剰余金を確保でき、会館維持更新費等の積立に充てることができました。建築学会は自らの会館を保有する我が国でも稀な学会であり、それ故にテナント料の負担なく学術活動が行えています。しかしながら建築会館は既に建設より45年を超え、今後「優良化更新」を行っていくためには現在の倍以上の積立を行っていく必要があります。これからも会費を値上げすることなく健全に本会を運営していくためには、無駄を省き、業務の効率化を進め、将来に向けた投資をしていかねばなりません。人口減少時代の環境に優しく災害に強いまちづくりへの支援、建築教育や資格の国際対応、多様化する建築職能の再定義とキャリアパスへの対応を含め、積み残した課題は次期会長の小野田泰明先生に取り組みをお願いすることになります。引き続き会員の皆様のご理解をお願いするとともに、この2年間のご支援に深く感謝し、最後のご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

今号が、私にとって最後のメールマガジンとなります。
この2年間、私は竹内会長を支える立場として、学術推進および学術レビューを担当する副会長を務めてまいりました。また、会長ミッションの一つである「デジタル刊行タスクフォース(TF)」に設置された2つのワーキンググループ(「刊行物ウェブ閲覧サービスWG」と「デジタル建築教材WG」)の取りまとめも大きな役割でした。
とくに「デジタル刊行TF」では、現代社会に求められるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を、建設現場と教育現場における課題に焦点を当てながら実装していくことを目指しました。「刊行物ウェブ閲覧サービス」については、企画運営委員会での度重なる検討を経て、昨年度ようやくシステム整備を終え、構造規準13タイトルをはじめとする有償ウェブ閲覧サービスの提供を開始することができました。
また、「デジタル建築教材WG」では、デジタル・デザイン教育向けの教育プログラムをオンラインで共有するためのプラットフォームを開発し、現在は試作段階ながら、4つの教育コンテンツを公開するまでに至っています。
竹内会長は当初より、これらの取り組みを通じて、学会の会員数の増加につなげることを目指しておられました。これらの活動がどれほど会員数に貢献したかは明確ではありませんが、本年4月には会員数が38,000人に達し、一定の成果が見られたことは喜ばしい限りです。
一方で、心残りもあります。「支援建築会議」に4つ目の柱として「発注支援建築会議」の必要性を個人的にも強く感じていながら、構想段階にとどまってしまい、企画書の提出にまで至らなかったことです。建築学会による発注支援の必要性については、多くの建築関係者にご賛同いただけるのではないかと思っております。今後は、次期小野田会長のもと、新たな執行部による実現を期待したいところです。
いずれにせよ、この2年間、竹内会長による強いリーダーシップのもと、建築学会の現在と10年後を見据えた取り組みに携わることができ、大変多くの学びを得ました。心より感謝申し上げます。

今回が最後の発信となります。副会長就任当初は、これからの任期がとてつもなく長い期間に思えましたが、終わってみればあっという間の2年間でした。産業界からの選出ということで、アカデミックな面とはまた少し異なる視点で日本建築学会を俯瞰し、貢献していけたら、という意気込みで臨みましたが、果たして何ができたかははなはだ自信がありません。そもそも学会という組織は教育・研究機関から参加している人たちの集まり、というイメージがあったので、副会長に総合建設業や設計事務所に属する人間が一定人数就くということの意義がどれほどのものなのか、正直就任当初はあまり良くわかっていませんでした。しかし、実際に活動を始めてみると、学会で行われている理事会、委員会、タスクフォースなどが教育・研究機関以外の方々にとってもとてつもなく有用であることが分かります。例えば、社会ニーズ対応推進委員会では社会と積極的に関わる活動の研究課題を挙げ年度ごとに複数の異なるテーマに取り組んでいます。或いは国際委員会では、海外での経験豊富な講師陣を招き学生を対象に海外で働く事の魅力を伝えています。これらの活動は建築の実務に直結するところも多分に包括されています。しかし、では産業界の人たちが学会活動に積極的に参加しているかというと決してそうとは思えません。学会員の構成比は建築設計事務所:研究教育機関:総合建設業に属する会員の人数がほぼ同数でそれぞれ会員全数の約18~20%となっています。産業界の人たちもこの構成比に見合うように、もっともっと積極的に学会に参加し活用していただき、また学会活動自体も更に活性化していけるよう心より願っています。それが今後の建築界の更なる発展に必ずや繋がるものと確信しています。
最後になりますが、竹内会長をはじめ2年間支えていただいた理事の皆様、そして強力なサポートをしていただきました学会事務局の皆様、本当にありがとうございました。心よりお礼を申し上げます。

2年間お世話になりました。1年目は論文集を発行する委員会が参加する学術レビュー委員会、2年目は研究活動を行う構造、防火といった委員会が参加する学術推進委員会を担当させていただきました。学術レビュー委員会では、田辺前会長のもと取りまとめられた「学術・芸術・技術分野の進展のための日本建築学会の活動に関する提言書」に書かれた内容を実行していくのが大きなミッションだったのですが、1年間では十分な成果を上げられなかったことが心残りです。2年目の学術推進委員会では、各本委員会のホームページのリニューアルに、学術理事の山田あすか先生に大変ご尽力をいただきスタートできたのは一つの成果かと思います。1年という時間は大変短く、着実に仕事を進めないと何も成果が上げられないということの反省が、少しは活かされたかと思います。また2年間継続で各支部が参加する支部長会議を担当させていただきましたが、各支部の活動の課題解決には少しくらい貢献できたかと思います。副会長の業務ではないのですが、私が主査を務めたアジア建築交流シンポジウム(ISAIA)を、京都開催ということもあり、大変盛況に終えることができたことはよかったです。盛況であった故、論文審査、会場運営には大変なご苦労をおかけしてしまいました。
2年間の任期は、あっという間でしたが、十分ではありませんが、これまで大変お世話になってきた学会に少しは恩返しができたかなと思います。
最後になりますが、竹内会長、また事務局の方々には大変お世話になりました。ありがとうございました。