巻頭スクロール 403architecture[dajiba]

403architecture[dajiba]掲載にあたって

 昨今、地方都市の空き家問題や中心市街地の再生が課題として浮き彫りとなる中で、リノベーションやインテリア改修といった小規模物件、あるいは「まちづくり」を同時に手掛ける若手建築家が増えつつある。横浜国立大学出身の若手建築家ユニットである403architecture[daijiba](以下、403)は、そうした近年の日本建築の潮流でもっとも目立つ存在と言えるだろう。
 403は、浜松市を拠点にする彌田徹、辻琢磨、橋本健史の3氏による建築家ユニットである(詳細プロフィール:http://www.403architecture.com/about/profile.html)。彼らの一連の活動は、地方都市をベースとしながら、既存の建築家の職能領域にとらわれない、じつに多岐に渡るものである。設計活動として、解体から生じた廃材を建築資材として転用する「マテリアルの流動性」に焦点をあてた一連の作品(本号巻頭スクロール、作品レビュー参照)がある一方、「浜松建築会議」(http://www.co-ha.net/about)におけるシンポジウムやワークショップの主催、教育をテーマにしたメディアプロジェクト・アンテナの企画運営(http://www.untenor.com)などもある。これら403の一連の活動はすでに建築メディアにおいてたびたび紹介されてきており、2014年には雑誌『新建築住宅特集』が毎年すぐれた住宅建築に贈る「吉岡賞」を「富塚の天井」で受賞している。
 今回の掲載に当たり、2015年5月末日に浜松の中心市街地に点在する403建築を見学するツアーをおこなった。前半に、立体駐車場スペースを多目的スペースに転用した「万年橋パークビル」を案内していただき、その1階セミナールーム「黒板とキッチン」にて彌田徹氏に商店街と連携したプロジェクトについて紹介いただいた。後半では、403事務所、「渥美の床」、三展ビル(「三展の格子」、「三展の天井」)、naru(「板屋町の壁紙」)、カギヤビル(ニューショップ「鍵屋の敷地」、「鍵屋の階段」)といった一連の建築作品を辻琢磨氏に解説していただいた上で、当日座談会を催した。
 本号では、403ツアーで廻った建築の作品解説、座談会、そして作品評論をベースに収録する。

(文責:川井操)