建築討論

日本近代建築の百年 1914~2014

主催:日本建築学会 建築討論委員会
日時:2014年4月11日(金)17:30〜19:30
会場:日本建築学会 会議室

 第1次世界大戦勃発から100年、ヨーロッパではこの百年を振返る機運がある中、今年のヴェネツィア・ビエンナーレでは、レム・コールハースのディレクションの下、各国はそれぞれの近代建築の百年を振返る展示を求められた。日本館の展示に太田佳代子氏とともに取り組む中谷礼仁さんの報告を皮切りに、日本近代建築の100年を振返ってみたい。日本の建築家を取り巻く問題、日本の建築メディアのあり方をめぐる問題が議論の基底にはある。折しもロシアのクリミア併合という世界史的な事態が発生、建築の枠に必ずしも囚われることなく話は展開するであろう(公開座談会への呼びかけ文より)。

出席
  • 青井 哲人(明治大学、『建築雑誌』前編集長)

  • 中谷 礼仁(早稲田大学、『建築雑誌』元編集長)

  • 松山 巌(作家・評論家)

  • 司会
  • 布野 修司(建築討論委員会委員長/滋賀県立大学副学長)


  • 主題としての1970年代




    第14回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展 「In the Real World 現実のはなし~日本建築の倉から」

    神殿か獄舎か、「大正建築」と「昭和建築」

    「官の建築」「民の建築」

    1920年代と1970年代

    制度=インスティチューション=施設

    『AD』が面白かった

    そして誰もいなくなった

    ビル爆弾

    昔話じゃなくて

    僕らの足元を築いた70年代

    現実とは?-3.11とどうクロスするのか


    • i 「〈柩欠季〉のための覚え書」『TAU』01,商店建築,197301。「虚構・劇・都市」『TAU』03,商店建築,197303。 「ベルリン・広場・モンタージュ」『TAU』04,商店建築,197304。:布野修司建築論集Ⅱ『都市と劇場 都市計画という幻想』所収。
    • ii  歯科医一木努氏が1960年代から40年以上にわたり解体される建物から採集してきたカケラのコレクション。
    • iii  超芸術トマソン。 赤瀬川原平らによる概念提示。不動産に付属し、まるで展示するかのように美しく保存されている無用の長物。存在がまるで芸術のようでありながら、その役にたたなさ・非実用において芸術よりももっと芸術らしい物を「超芸術」と呼び、その中でも不動産に属するものをトマソンと呼ぶ。 超芸術を超芸術だと思って作る者(作家)はなく、ただ鑑賞する者だけが存在する。」
    • iv  1968年、大竹誠、中村大輔、村田憲亮、真壁智治により結成され、1974年まで活動を行った。
    • v 「先月号の月評を投函した翌々日の1月7日、クリス・フォーセットが大阪駅近くのDビルの屋上から投身自殺した。1973年、21歳のときに日本の文化に興味をもって来日し、3年半、日本の現代建築やさまざまな儀式のフィールドワークを行なった。その後イギリスに戻ってエセックス大学で学位を取り、2年前に再来日した。現在の日本の文化の半ば狂的な現象に尽きぬ関心をもっていたのだが、そんなものに魅かれてはるばるやって来る自分も狂っているのだろうとしっていた。この時すでに病魔が彼の肉体を犯し始めていたのだが、死を決意する直前まで、圧倒的な違和感を与え続ける日本の文化について、執拗な思索を続けた。(中略)徹底的な無神論者であった彼の、日本の宗教儀式や建築に向けられた眼差しの何とも優しさに満ちていたことだろう。それにしても無心論者の自殺はあまりに悲痛だ。遺稿のタイトルは「Japan City」。」(平山明義1986年『新建築』月評)。
    • vi  趙海光+高山建築学校編集室(編)『高山建築学校伝説―セルフビルドの哲学と建築のユートピア』鹿島出版会、2004年
    • vii セキスイハイムM1についてはhttp://www.sekisuiheimm1.com/
    • viii 東京大学工学部建築学科のグループ。メンバーは、杉本俊多、千葉政継、戸部栄一、村松克己、久米大二郎、三宅理一、川端直志、布野修司他。
    • ix  フランセス・イエイツ Frances Amelia Yates(1899~1981)。英国の思想史家。ルネサンスのネオプラトニズム研究で知られる。『ジョルダーノ・ブルーノとヘルメス教の伝統』(前野佳彦訳、工作舎)、『記憶術』 (玉泉八州男監訳、青木信義訳、水声社)、『世界劇場』(藤田実訳、晶文社)、『シェイクスピア最後の夢』藤田実訳、晶文社)など。
    • ⅹ エリック・ホブズボーム Eric John Ernest Hobsbawm(1917~2013)。英国の歴史家。『革命の時代』(邦訳は『市民革命と産業革命』)、『資本の時代』、『帝国の時代』の三部作で長い19世紀(1789~1914)を扱う。1914~1991年を「短い20世紀」として、『両極端の時代:短い20世紀』(邦訳『20世紀の歴史――極端な時代』)を著わした。
    • xi  1968年にスチュアート・ブランドによって創刊。1974年に,Stay hungry,stay foolishという言葉(スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の講演で学生たちに贈る言葉として紹介した)を裏表紙に飾って廃刊。
    • xii  John F. C. Turner(1973), ”Freedom to Build”, (1976)"Housing by People: Toward Autonomy in Building Environments",Pantheon Books
    • xiii Charles Jencks and Nathan Silver(1972),“Adhocism: The Case for Improvisation”, MIT Press / (2013) expanded and updated edition, MIT Press
    • xⅳ 建築研究団体連絡会『建築をみんなで』日刊建材新聞社、1956年
    • xv  改訂版『戦後建築の終焉 世紀末建築論ノート』れんが書房新社、1995年
    (文責 布野修司) 対談風景

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