『各種合成構造設計指針・同解説』[第3版]意見募集(個人会員限定)

『各種合成構造設計指針・同解説』(以下、本指針という)は、以下の4つの設計指針から構成されています。
   第1編:合成梁構造設計指針
   第2編:デッキ合成スラブ構造設計指針
   第3編:鉄骨骨組と鉄筋コンクリート耐力壁との合成構造設計指針
   第4編:各種アンカーボルト設計指針

 本指針は1985年に刊行されて以降、2010年の改定を経て、現在に至ります。初版の序には“書名は必ずしも適切ではないが、将来それに相応しい内容とするために含みをもたせたものである”と記述されています。しかしながら、約37年もの間、『各種合成構造設計指針』という名を含め、建築構造技術者や研究者に広く愛用されています。他の指針類と同様、本指針においても2010年の改定時から10年以上の経過において学術研究等で得られた知見を反映させると共に、実務設計や研究開発等の社会状況に対応させるため、改定作業に着手しました。初版発刊時の経緯から、鋼構造運営委員会の傘下としつつも、鉄筋コンクリート構造運営委員会、鋼コンクリート合成構造運営委員会から委員を選出していただき、3運営委員会で広く情報を共有して改定作業を行いました。主な改定項目は下記の通りです。
 第1編では、JIS規格の2011年改定に伴い軸径25mmと10mmの頭付きスタッドが追加されたことに伴い、実験による研究成果等を6章の本文・解説に反映しました。また、3章の梁用鋼材で、その選定に関連してスタッド溶接の溶接条件および施工試験について解説で詳述しました。7章では2018年に改定された『建築物の振動に関する居住性能評価規準・同解説』の鉛直振動に関する性能評価図を取り入れ、見直しを行いました。さらに、計算例では大梁で支保工なしの場合における横座屈に対する検討を追加しました。
 第2編では、4章に一方向性スラブであるデッキ合成スラブに特有な基本的な構造計算の考え方を、8章に乗用車やフォークリフト等の車両走行による繰返し荷重に対する検討方法をそれぞれ追加しました。また、3章では、デッキプレートと梁の接合方法である焼抜き栓溶接と打込み鋲に対して、そのせん断耐力が支圧によって決まることを説明し、従前の許容せん断力との関係、およびデッキプレートの位置決めとして用いられるアークスポット溶接や小径の打込み鋲における許容せん断力の考え方についての説明を追加しました。
 第3編では、対象としている構法での建設例がほとんどない点や、鉄骨骨組とRC壁との合成構造に関する研究例が前回改定時より見られない点を鑑みて、各編の改定に合わせた微修正のみで対応し、原則として内容の修正は行っていません。
 第4編では、適用範囲を従前と同様に機器類およびその構造物を取付ける際のアンカーの設計、ならびに鉄筋コンクリート造架構または鉄骨鉄筋コンクリート造架構に後打ちする耐震壁等の定着部におけるアンカーの設計に制限しています。前回の改定以降のデータ蓄積および実績を踏まえ、対象とするアンカーを先付け工法と後付け工法に分類しました。また、工法等によって性能に差がある後付け工法のアンカーは、その適用範囲と確保すべき性能を明確にするため、新たにS種、A種、B種の3種類の分類を設けました。S種は主要構造物の主筋等の定着に対するアンカー、A種、B種は上述した本指針の適用範囲に用いるアンカーであり、そのうちB種は簡易な取付け方法により設置される設備機器類を固定するアンカーを対象としています。S種は本指針の適用範囲外ですが分類の位置づけを明確化するため、その概念のみを提示しています。従前の先付けアンカーはA種に相当すると位置づけ、2010年版の付録での提示にとどめた金属拡張アンカーはB種として新たに本文に追加しました。
 この改定版も前版と同様、建築構造技術者や研究者に永く愛用され続けることを期待しております。現在、2023年度の刊行を目指して専門家による査読を行っている段階ですが、会員のみなさまにもお目通しいただき、ご意見をうかがいたいと思います。ぜひ、多角的な観点から忌憚のないご意見をお寄せください。
日本建築学会 構造委員会 鋼構造運営委員会
各種合成構造設計指針改定小委員会
『各種合成構造設計指針・同解説』[第3版]本文案概要
(ダウンロードするには本会Webサイトへのサインインが必要です。)
 
ご意見送付先 吉敷祥一(各種合成構造設計指針改定小委員会主査/東京工業大学)
kishiki.s.aa*m.titech.ac.jp (*を@にかえて送信してください。)
 
締  切 2022年6月13日(月)

  ※非会員の方はぜひ本会へご入会ください【入会案内】