『プレストレストコンクリート造建築物の保有水平耐力計算指針(案)・同解説』 意見募集(個人会員限定)

  本会では『プレストレストコンクリート設計施工規準・同解説』等において、長期応力に対する許容応力度設計と、短期応力には終局強度設計とを行うことを基本としてきた。しかしながら、兵庫県南部地震(1995年)の発生を契機として、施主の要求する諸々の構造性能を積極的に実現することを可能とする新たな設計手法の開発が、社会的に要請されるようになった。いわゆる性能評価型設計法である。本会においても、プレストレストコンクリート構造運営委員会で10年来PC部材の構造性能評価法について検討を進め、合理的な性能評価可能な設計法を提示した『プレストレストコンクリート造建築物の性能評価型設計施工指針(案)・同解説』を2015年に刊行した。この中には、常時荷重、材料施工、部材設計法および耐震設計まで、最新の知見がまとめられている。この中で耐震設計法は、最新の知見のもと限界耐力計算法を中心に示されている。
 
  しかし現在、一般的にPC建築物の設計は保有水平耐力計算法を用いてされる場合が多い。ルート3の設計法は3a、3bの二種類に分かれており、いずれの場合でも中小地震を対象とした一次設計では終局強度設計を行うこととしており、その場合の地震力は弾性応力解析の値の1.5倍に割り増され用いられている。しかし、一次設計は中小地震に対して建築物の健全性を検討、保証する設計法であり、主旨にそぐわないとの意見も多い。また、部材種別の判定を鉄筋コンクリート(以下、RCという)部材と同様にしている点にも疑問の意見がある。ただし、過去の多くの震度6以上の地震でPC建築物が大破した事例等はほとんどなく、大破の被害を受けたものもRC部材が損傷したものである。したがって、終局強度設計の有用性は確認できたと考えられる。本指針は終局強度設計を否定するものではなく、ルート3bを選択した場合に現状の研究成果を適用できるようにと考え作成した。
 
  本計算指針(案)では一次設計時に、部材の損傷限界応力によるチェックを行うこととし、二次設計で建築物メカニズムによる保有水平耐力のチェックを行うこととした。このため、保有水平耐力計算指針という名称だが、一次設計のことも記載している。また本会から、『鉄筋コンクリート構造保有水平耐力計算規準(案)・同解説』が発刊され、崩壊形に基づくルートと柱や梁のデータベースによる検討でより信頼性の高い保有水平耐力計算法が示された。この方法も参考としている。
 
  指針全体としては、非構造部材や仕上げ等について言及していない。また、不整形部材や高層建築物への対応等残された課題は、まだまだ多い。PC構造はRC構造に比べ、実験や解析データも少なく、研究途上である。今後の研究成果により、本指針の評価手法は常に見直し、更新が必要となる。様々なPC構造の視点から完成度の高い指針を提供するのが筋だが、現状の知見から設計法を見直し、周知するのも学会の努めであるため、今回『プレストレストコンクリート造建築物の保有水平耐力計算指針(案)・同解説』を刊行することとなった。現在2019年度刊行に向けて専門家によるレビューを行っておりますが、会員の皆様にもお目通し頂き、ご意見をうかがうことになりました。是非、多角的な観点から建設的なコメントをお寄せいただければと思います。
 
  なお、ご意見は日本建築学会会員番号・氏名を明記のうえ、下記にEメールでお送りください。
日本建築学会 構造委員会 プレストレストコンクリート構造運営委員会
PC耐震設計小委員会
  ■『プレストレストコンクリート造建築物の保有水平耐力計算指針(案)・同解説』 本文案概要
 
  ■ご意見送付先 :  島ア和司 (PC耐震設計小委員会主査/神奈川大学)
   shimazaki*kanagawa-u.ac.jp (*を@にかえて送信してください)
 
  ■締  切 :  2018年12月10日(月)

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