わが国の建築物の敷地は、コンクリートブロック造による塀(以下、ブロック塀という)で囲うことが多い。全国に現存するブロック塀は膨大な数にのぼると思われるが、これらのブロック塀は、建設時に確認申請がされていないものが殆どで、これらの構造は関連法令や本会の設計規準に適合していないものが数多くみられます。
既存ブロック塀は、大地震発生のたびに多数倒壊して時には死傷者を出しており、市街地の通行人は潜在的危険にさらされているといえます。また、これらのブロック塀の倒壊により災害時の緊急車両等の通行が阻害されることが危惧されています。
本指針(案)は、これらの状況を踏まえ、ブロック塀の耐震調査の実施方法および耐震診断の方法について示しています。その構成は「1章 総則」、「2章 現地調査の方法」、「3章 耐震診断の方法と耐震性の判定」からなり、それらの本文および解説では、1次調査(目視調査)の結果により行う診断を1次診断(簡易診断)と呼び、それに2次調査(精密調査)による配筋状況や基礎の状況ならびに地盤調査の結果等を加えて行う診断を2次診断(精密診断)と呼んでいます。また、本指針(案)で行う耐震診断結果と過去の地震被害の調査結果との相関性についても解説に記載しています。
巻末の「付録」には、「ブロック塀の地震被害例」、「基礎地盤の検討例」および「耐震改修の方法」ならびに「1次および2次調査表」を掲載しています。なお、1次および2次調査表では、それぞれの調査項目の結果を記入することにより、1次および2次診断が行えるように工夫されています。
つきましては、日本建築学会個人会員の皆様からのご意見を取り入れ、理解し易く、かつ使い易い指針にしたいと考えております。
指針の内容に関わる重要な事項につきましては、運営委員会としての検討時間および運営委員会、構造委員会での内容修正承認が必要となりますので、できる限り早くお寄せ戴ければ幸いです。
ご意見は、日本建築学会会員番号および氏名を明記の上、下記宛てにEメールでお送りください。
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