2006年日本建築学会賞候補業績募集要領

 日本建築学会では、建築に関する学術・技術・芸術の進歩発展をはかるとともに、わが国の建築文化を高め、公共の福祉に寄与するため、1949年以来、建築の各分野におけるきわめて顕著な業績を表彰しています。
 2006年日本建築学会賞の候補業績を下記の要領によって公募いたしますので、募集要領にしたがって2005年9月15日(木)までに審査に必要な資料を提出してください。
 なお、2004年12月に表彰制度検討委員会の答申「学会賞(作品)と作品選奨の二つの賞の違いの明確化検討報告書」にもとづいて、2005年1月理事会で「表彰規程」「学会賞選考委員会運営規程」が改正されました。改正点とその趣旨は『建築雑誌』2005年2月号pp.157-159に詳述されていますので参照してください。この改正にともなって募集要領も変更されています。
 上記の理由による変更をはじめ、今年度変更された箇所は下線で示してありますので、ご注意ください。

論   文

1.賞の対象

 近年中に完成し発表された研究論文であって、学術の進歩に寄与する優れた論文を対象とする。その際、分野を集大成した論文、独創的な単独の論文、あるいは新しい分野、境界領域の論文まで幅広く考慮する。

2.審査の対象

  1. 会員が推薦または応募したもの
  2. 研究機関・団体および職場が推薦したもの

3.審査の資料

  1. 候補推薦書1部
  2. 学会刊行物その他に発表された候補論文5部(コピーでもよい)
  3. 6項に従って作成した候補論文梗概5部
  4. 審査の必要上さらに詳細な資料の提出を求めることがある。
  5. 資料の作成費は応募者の負担とする。

4.表  彰

  1. 1項で規定した研究論文を対象とするが、賞を受ける者はその研究を行った研究者とする。ただし緊密な共同研究にあっては主となって関与した2名以上を表彰することもある。
  2. 賞は「日本建築学会賞」と称し、賞状、賞牌、賞金を授与する。
  3. 表彰式は総会の席上で行う。

5.表彰件数

 厳選寡少を旨とし10件を基準とする。

6.候補論文梗概

 梗概は図表・論文リストを含めてA4判用紙10ページ以内にまとめる。候補論文が複数の既発表論文からなる場合は、そのリストを文末に添付し、各論文の位置づけを梗概中で引用して明確に述べる。候補論文中に候補者が筆頭著者でない論文が含まれる場合は、その論文の筆頭著者が候補者の業績に含めることを了解している旨の署名入り文書を添えること。また過去に学会賞受賞の対象となった論文中に使われた論文は、原則として新たな学会賞の候補論文に加えることはできない。
 なお、論文の概要の記述に際しては、次の1, 2が説明されていることが望ましい。

  1. 当該研究分野や隣接分野の発展現況の概説
  2. 候補論文の位置づけ、成果の意義などについて、例えば次に示した観点のうちから幾つかを選定して、当該分野に貢献したことを示す。
    1. 新しい学問分野の開拓
    2. 新しい概念、フィロソフィ、アイデア等の導入
    3. 新しい事象、法則等の発見
    4. 今後の発展への影響、波及効果
    5. 社会的貢献度、実用的価値
    6. その他の観点
  3. 過去に応募歴のあるものは、前回の応募時からの業績内容の変化の有無についての説明を付す。

作   品

1.賞の対象

 近年中主として国内に竣工した建築(庭園・インテリア、その他を含む)の単独の作品であり、社会的、文化的見地からも極めて高い水準が認められる独創的なもの、あるいは新たな建築の可能性を示唆するもので、時代を画すると目される優れた作品を対象とする。

2.審査の対象

  1. 会員が推薦または応募したもの
  2. 研究機関・団体および職場が推薦したもの

(注:作品選集掲載作品も学会賞に応募する場合は、改めて本募集要領に従って応募する必要がある)

3.審査の資料

  1. 候補推薦書1部
  2. 写真および主な図面(青写真でもよい)と説明書1部
  3. 候補者が複数の場合は、それぞれの候補者が候補業績にどう関与したかを明記した資料(候補者はその業績に主となって関与した関係者のあいだで了解が得られていること)
  4. 上記資料はA3判大のクリアファイルなどにとりまとめて提出する。
  5. 審査の必要上さらに詳細な資料の提出を求めることがある。
  6. 資料の作成費は応募者の負担とする。

4.表  彰

  1. 1項で規定した作品を対象とするが、原則として賞を受ける者はその作品の設計に主となって関与した個人を少数選ぶ。
  2. 賞は「日本建築学会賞」と称し、賞状、賞牌、賞金、銘板を授与する。
  3. 表彰式は総会の席上で行う。

5.表彰件数

 厳選寡少を旨とし3件を基準とする。

技   術

1.賞の対象

 近年中に完成した建築に関する技術であって、特定の建築・工法・材料・手法等に結実した新しい技術(研究・開発を含む)を評価の対象とする。
(注:継続的な活動によって構築された技術が対象となる場合は業績部門とする)

2.審査の対象

  1. 会員が推薦または応募したもの
  2. 研究機関・団体および職場が推薦したもの
  3. 特許などにかかわるものにあっては、公開され利用が可能なものに限る。

3.審査の資料

  1. 候補推薦書1部
  2. 6項に記載した候補技術説明書3部
  3. 候補者が複数の場合は、それぞれの候補者が候補業績にどう関与したかを明記した資料(候補者はその業績に主となって関与した関係者のあいだで了解が得られていること)
  4. 審査の必要上さらに詳細な資料の提出を求めることがある。資料となる出版物のあるときは、その名称・発行年月日・発行所を示して提出資料に代えることができる。
  5. 資料の作成費は応募者の負担とする。

4.表  彰

  1. 1項で規定した技術を対象とするが、原則として賞を受ける者はその技術の確立に主となって関与した個人を少数選ぶ。
  2. 賞は「日本建築学会賞」と称し、賞状、賞牌、賞金を授与する。
  3. 表彰式は総会の席上で行う。

5.表彰件数

 厳選寡少を旨とし3件を基準とする。

6.候補技術説明書

 候補技術説明書は図表・写真・文献リストを含めてA4判用紙4ページ以内にまとめる。その際、下記の事項のうち該当する項について記述する。なお、引用文献を添付することは差し支えない。

  1. 独創性・画期性
    1. 比較対象となる技術があれば、その主なものの概要を列挙し、当該分野の技術水準をどのように理解し、把握しているかを要約する。
    2. 比較対象とした技術に対して、候補技術がいかに優れているか、特にその独創的であると思う部分、新鮮なアイデア、工夫など、具体的に説明する。
  2. 評価の側面
    独創性に加えて有効性・応用性などの側面で候補技術が評価されることを希望する場合は、その側面を説明する。
  3. 候補者と業績との関係
    候補者の業績がその所属する機関または組織内で成し遂げられたものである場合は、当該候補者がその業績達成のために果たした役割を具体的に説明する。

業   績

1.賞の対象

 学術・技術・芸術などの進歩に寄与する、論文・作品・技術部門以外の優れた業績であって、近年中に完成した業績および継続的な活動によってその成果が認められた業績で、次に該当するものを対象とする。

  1. 建築・都市に関するもの
  2. 建築の技術・技能に関するもの
  3. 建築遺産の保存修復に関するもの
  4. 建築評論・著作・出版事業に関するもの
  5. 建築にかかわる社会活動に関するもの
  6. その他この賞の目的に適合するもの

2.審査の対象

  1. 会員が推薦または応募したもの
  2. 研究機関・団体および職場が推薦または応募したもの
  3. 本会の委員会活動の成果に関わるものは、公募の対象としない。
  4. 特許などにかかわるものにあっては、公開され利用が可能なものに限る。

3.審査の資料

  1. 候補推薦書1部
  2. 6項に記載した候補業績説明書3部
  3. 候補者が複数の場合は、それぞれの候補者が候補業績にどう関与したかを明記した資料(候補者はその業績に主となって関与した関係者のあいだで了解が得られていること)
  4. 審査の必要上さらに詳細な資料の提出を求めることがある。資料となる出版物のあるときは、その名称・発行年月日・発行所を示して提出資料に代えることができる。
  5. 資料の作成費は応募者の負担とする。

4.表  彰

  1. 1項で規定した業績を対象とするが、賞を受ける者はその業績に主となって関与した者を少数選ぶ。ただし、組織などで個人を選ぶことができないときは組織などを表彰することもある。
  2. 賞は「日本建築学会賞」と称し、賞状、賞牌、賞金を授与する。
  3. 表彰式は総会の席上で行う。

5.表彰件数

 厳選寡少を旨とし4件を基準とする。

6.候補業績説明書

 候補業績説明書は図表・写真・文献リストを含めてA4判用紙4ページ以内にまとめる。その際、下記の事項のうち該当する項について記述する。なお、引用文献を添付することは差し支えない。

  1. 独創性(または新鮮である側面)
    1. 比較対象となる業績があれば、その主なものの概要を列挙し、当該分野の水準をどのように理解し、把握しているかを要約する。
    2. 比較対象とした業績に対して、候補業績がいかに優れているか、特にその独創的であると思う部分、新鮮なアイデア、工夫など、具体的に説明する。
  2. 評価の側面
    波及効果、社会的貢献などの側面で候補業績が評価されることを希望する場合は、その側面を説明する。
  3. 候補者と業績との関係
    候補者の業績がその所属する機関または組織内で成し遂げられたものである場合は、当該候補者がその業績達成のために果たした役割を具体的に説明する。

各部門共通事項

1.資料の取扱い

  1. 資料は所定の候補推薦書に添付する。会誌に掲載してある書式をコピーしたものでも差し支えない。
  2. 提出先
       〒108-8414 東京都港区芝5-26-20
       社団法人日本建築学会
       日本建築学会賞選考委員会○○部門
  3. 審査のために提出した資料で、返却を希望するものは返却する。
  4. 受賞者は提出資料1部を本会に寄贈する。

2.日  程

  • 2005年9月15日 応募・推薦締切
  • 2006年4月    理事会で表彰業績の承認後公表
  • 2006年5月    贈呈式(総会)
  • 3.その他の共通事項

    1. 候補業績の推薦にあたっては、候補者本人の了解を得ること。
    2. 適当な業績がなければ表彰しない場合もある。
    3. かつて同一部門の業績で受賞した者への重賞はなるべく避ける。
    4. 賞を受ける者は個人が原則であるが、個人を特定しがたい場合は組織等を表彰する場合がある。
    5. 表彰する業績の名称および賞を受ける者は、選考の結果、候補推薦書と異なる場合がある。
    6. 業績の内容が2つ以上の部会に関係あるときには、関係部会が協議して審査担当部会を決める。
    7. 作品・技術・業績の受賞者には業績紹介用の展示パネル等を作成していただく場合がある(作成費は受賞者の負担とする)。
    8. 過去の受賞業績・受賞者は日本建築学会ホームページ//www.aij.or.jp/scripts/prize/prize.htmを参照。

    2006年日本建築学会賞選考委員会

    委員長 斎藤 公男(日本大学教授)

    論文部会

    部会長 石野 久彌(首都大学東京教授)
    幹  事 佐藤  滋(早稲田大学教授)
          田中 享二(東京工業大学教授)
    委  員 井上 一朗(京都大学教授)
          加藤 信介(東京大学生産技術研究所教授)
          嘉納 成男(早稲田大学教授)
          野口 孝博(北海道大学教授)
          長谷見雄二(早稲田大学教授)
          林  一馬(長崎総合科学技術大学教授)
          平石 久廣(明治大学教授)
          門内 輝行(京都大学教授)
          吉田 長行(法政大学教授)
          和田 幸信(足利工業大学教授)

    作品部会

    部会長 富永  讓(法政大学教授)
    幹  事 淺石  優(日本設計プリンシパルデザイナー)
          安田 幸一(東京工業大学助教授)
    委  員 新居 千秋(新居千秋都市建築設計代表取締役)
          金箱 温春(金箱構造設計事務所代表取締役)
          北川原 温(東京芸術大学教授)
          長澤  悟(東洋大学教授)
          松村 秀一(東京大学助教授)
          山本 敏夫(鹿島建設建築設計本部取締役本部長)
          吉田 治典(京都大学教授)

    技術部会

    部会長 吉田 倬郎(工学院大学教授)
    幹  事 石原  修(熊本大学教授)
          坂本  功(東京大学教授)
    委  員 五十嵐克哉(鹿島建設技術研究所主席研究員)
          岡本  伸(ピーエス三菱顧問)
          陣内 秀信(法政大学教授)
          高草木 明(東洋大学教授)
          林  雄嗣(NTTファシリティーズ代表アーキテクト)
          光井  純(シーザーペリ&アソシエーツジャパン代表取締役)
          守谷 一彦(日総建顧問)

    業績部会

    部会長 菊池 雅史(明治大学教授)
    幹  事 河村 壮一(大成建設常務役員技術センター長兼原子力本部長)
          布野 修司(滋賀県立大学教授)
    委  員 在塚 礼子(埼玉大学教授)
          片山 和俊(東京芸術大学教授)
          佐野 吉彦(安井建築設計事務所取締役社長)
          田村 志郎(大林組常務取締役設計本部長)
          中川  武(早稲田大学教授)
          三浦 賢治(広島大学教授)
          村川 三郎(広島大学教授)