本号の巻頭スクロールでは、中国北京で活躍する若手建築家の四合院改修プロジェクトに着目する。
近年、北京では大柵欄地区の建築設計週間BEIJING DESIGN WEEKに代表されるように歴史文化保存地区四合院の改修プロジェクトの取り組みが多い。日本人の若手建築家もその一連のプロジェクトに関わる機会を得ている。また、安価に貸し出された雑院化の進む四合院を改修し、自らの住まいとするケースも見受けられる。
本号では、首都北京において、歴史保存地区のあり方、中国を代表する伝統住宅四合院を改修して住まうことの可能性を問いたい。
今回の掲載にあたり、2015年8月に北京旧城エリアにある建築作品を廻るツアーをおこなった。前半では、北京外城大柵欄エリアにあるZAO/standardarchitecture標準営造のプロジェクト「NO.8 CHA’ER HUTONG/微雑院」「Micro-hutong 微胡同」の2件、北京内城東城区にある松本大輔氏(Fesch)設計による雑院自邸改修プロジェクト「WZM56」、山本雄介氏(フリーランス)の住まう雑院を案内いただいた。後半では、青山周平氏(B.L.U.E 建築設計事務所)設計による同一四合院にある2件のプロジェクト「景陽胡同の住宅リノベーション」「胡同の最小限住宅」、岡本慶三氏(odd設計事務所)設計による雑院自邸改修プロジェクト「keizo house」を案内いただいた。その後、鼓楼東街にあるzarah caféにて座談会を催した。
本号では、北京旧城エリアで改修された建築を中心にして、作品解説、座談会、そして作品評論をベースに掲載する。
(文責:川井操)