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わが家の耐震 −RC造編−

1. 鉄筋コンクリート構造の特徴


(1)コンクリートと鉄筋

鉄筋コンクリートはコンクリートと鉄筋とが一体となった構造で,RC造とも呼ばれます。コンクリートは圧縮には強く,引張りには弱い材料ですが,鉄筋は圧縮には弱く,引張りには強いという性質を持っています(図1)。

コンクリートの中に鉄筋を入れ,圧縮にも引張りにも強い部材を作るのがこの構造の特徴です。また鉄筋は火に弱く,さびやすいという欠点がありますが,コンクリートで鉄筋を覆うことにより,鉄筋を火から守り,さびの発生を防いでいます。


図1 コンクリートと鉄筋の働き

(2)ラーメン構造と壁式構造

鉄筋コンクリート構造は,柱・はり・壁・スラブといった部材から構成されています(図2)。柱とはりを一体化して骨組を作ったものを「ラーメン構造」(図3)といい,柱がなく,壁と床だけで建物を構成したものが「壁式構造」(図4)です。

建物の強度を高めるために,ラーメン構造の柱とはりの中に壁を組み込む場合もあり,このような壁を「耐震壁」といい大きな強度があります。同じ鉄筋コンクリートの壁でも,出入り口などの大きな開口が設けられた壁や,柱・はりからはずれた壁は「非構造壁」といい,耐震性能上はあまり役立たない壁です。また,柱やはりにつながっている非構造壁はその位置に応じて,「そで壁」,「たれ壁」,「腰壁」ともいわれます。


図2 RC造各部の名称


図3 ラーメン構造


図4 壁式構造


(3)柱とはり

柱に入っている鉄筋には,「主筋」と「帯筋」が,またはりに入っている鉄筋には「主筋」と「あばら筋」があります(図5)。柱やはりは,引張り力や圧縮力の他に,曲げモーメントやせん断力を受けます(図6)。主筋は曲げモーメントによって生じる引張力に抵抗する役割を持ち,帯筋やあばら筋はせん断力に抵抗し,建物に粘りを持たせるための鉄筋です。


図5 柱・はりの鉄筋


図6 曲げモーメントとせん断力

柱・はりから成るラーメン構造が地震力を受けたとき,曲げモーメントによるひび割れやせん断力によるひび割れが発生します(図7)。帯筋やあばら筋が十分に多いと,水平変形が大きくなっても建物は崩壊しませんが,少ないと,急激な崩壊(せん断破壊という)に至ることが多くなります。柱の帯筋が多くても,たれ壁や腰壁がある場合(短柱という)にはせん断破壊が生じやすくなります。せん断破壊は建物にとってたいへん危険な現象であり,設計では帯筋・あばら筋を十分用いたり,短柱を作らないようにしてせん断破壊を避けるようにしています。短柱を作らないために,腰壁やたれ壁と柱との間にスリットを設けることもあります。


図7 柱・はりに生じるひび割れ

(4)壁

壁の鉄筋は縦・横に配置されるほか,開口の周りに補強のために配置されます(図8)。壁が地震力を受けた時には斜め方向のひび割れが発生し,特に開口の周りに集中します。壁はひび割れ(図9)が生じた後も鉄筋の効果により,さらに大きな地震力を負担できます。壁式構造ではひび割れを生じさせないよう,壁の量を十分に多くしています。


図8 壁の鉄筋


図9 壁のひび割れ

(5)鉄筋コンクリートの劣化

鉄筋コンクリート造の建物は地震を受けた時以外にも,乾燥収縮(図10)や基礎の不同沈下(図11)など,さまざまな要因によりひび割れが発生します。ひび割れた所から雨水が浸入し,中の鉄筋がさびると,強度が落ち建物の耐震性能が低下します。ひび割れや鉄筋のさびなどの劣化性状に対処しておくことも建物の耐震性能の確保のためには重要です。


図10 乾燥収縮によるひび割れ


図11 不同沈下によるひび割れ

(6)基礎

建設地の地盤状況を把握し,建物を堅固な地層に支持させることは,構造種別にかかわらず重要なことです。鉄筋コンクリート造の建物は木造や鉄骨造の建物に比べ数倍に重いので,同じ地盤に建設される場合もしっかりした基礎構造が必要です(図12)。地表面付近の地層が軟弱な場合には杭基礎(図13)を用います。


図12 木造とRC造の基礎


図13 杭基礎


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